
「著者」と「編集者」と「デザイナー」/ チームで挑む、集中創作道場
この書籍は、NPO法人日本独立作家同盟(現:HON.jp)が2017年2月に初めて開催した出版と創作のイベント「NovelJam(ノベルジャム)」で生み出された作品を合本したものです。

「NovelJam」とは「著者」と「編集者」、そして「デザイナー」が集まってチームを作り、小説の完成・販売までを目指す『短期集中型の出版創作イベント』です。ジャムセッション(即興演奏)のように参加者が互いに刺激を得ながら、その場で作品を創り上げています。そこから生まれた熱い創作の成果をお楽しみください。
NovelJam(ノベルジャム)は、NPO法人HON.jpの登録商標です(登録番号6115964号)

Spec
TEAM & WORK
チームと作品
刊行未定作品が予約できる時代、ベストセラー作家の身に何が起きる!?
『ヒガシイチガヤ・ユウスケの最新作(来週水曜発売)、予約受付中』
通販サイトの表示を見た、世界的ベストセラー作家ヒガシイチガヤ・ユウスケは、自分の目を疑った。――来週発売だって? まだ原稿は書き上がっていないのに!?
その時、ユウスケは締め切的にも人生的にもピンチだった。半年前に脱稿するはずの原稿はあがらず、脱稿したらプロポーズするはずができず、編集者は家に泊まり込み、彼女には愛想を尽かされかけている。なのに新刊予約受付中!?――それは人工知能が執筆速度を予測し、勝手に予約を取り始めてしまうという最新サービスの結果だった。発売情報は瞬時に拡散、世界情勢と彼女の精神性に影響を与え、彼女から「人工知能を使った執筆」を迫られることに……! あさってくらいの近未来に起こるかもしれない、作家と小説の関係の可能性を示唆している物語……のような、ラブ・ストーリー。
Novel Jam 2017 最優秀賞作品
古いプログラム言語を操る老人と、介護アンドロイドの秘密とは……
「世界中の滅びたデジタルの遺産を探している」「そんなことに意味があるのかね」「俺は外の人間だ。外から来て、空白を埋めて、帰る。それでいいと思っている」「あの子を外に連れて行ってくれないか」――突然現れたデジタル考古学者マコトと、ずっと一緒にいたミコロフ爺さんの会話。介護アンドロイドの少年は、部屋の外でそれを聞いた。
古いプログラム言語の仕事を、細々と請け負うミコロフ爺さんただ一人が入居者の老人ホーム。アンドロイドの少年は爺さんと二人、静かに過ごしていた。そんな暮らしが、“外の世界”から来たマコトの乱入で激変する。刺激に満ちた“外”の情報、疑問にも思わなかった、爺さんに発注される“仕事”の真相。珍しいプログラム言語を収集しているというマコトの行動は、爺さんと少年の日常を壊してしまうのだが……。「行け。お前には外の世界がある」――これは老人にそう告げられ、少年が外に旅立つまでの、とある物語。
NovelJam 2017 海猫沢めろん賞作品
きっと、同じ光を見ている。もう二度と会うことはなくても。
月の光でできた虹がある。
そのほのかな光は、カメラに映ることはない。
「白虹ですね」
「はっこう…?」
「白い虹って書いて、はっこう。虹の一種です」
いわれのないパクリ騒動で炎上した漫画家・六連涼(むつらすず)。散々にたたかれ、同棲相手もそんな仕事をやめたほうがいいんじゃないか、と勧められる。こんなはずじゃなかったのに。
公私ともに行き詰まった日々。もうすぐ30歳を迎えようとしているとき、既婚の編集者・桐野への恋心に気がつく。
「私、仕事を辞めて結婚することになると思います」
「辞めるって…漫画をですか?」
破り、破られるものは何なのか。カメラには映らない淡い光が、それぞれの答えを導き出す。
初めての逆ナン!? うんちくで運命を打ち破れ!!
池波正太郎ファンのオフ会で出会った謎の彼女。
「ぼくは鬼平には、小説から入ってドラマにもはまりました。」
「わたしはドラマからですね。」
盛り上がる中、唐突に彼女はこう口にした。
「日光東照宮に行ってみたいんです」
…日光。微妙な距離である。日帰りか泊まりか。池波うんちくを駆使し、冷静に彼女の真意を探る私。彼女は、そんな私に追い討ちをかける。
「池波正太郎は、日光のホテルにカンヅメになって作品を書いたって言いますよね?」
「そうです。東照宮の前ですよね?金谷ホテルがあるの。金谷ホテルに行きたいですー。」
勘違いか、からかわれているのか、はたまた詐欺か…。困惑する私をよそに彼女はにこやかに笑う。そしてそこに現れる酔客。
「本所で平蔵と忠吾が食べるみそ田楽な。この近所にあるおれの同級生の店でもやってるんだ。」
ガンバレわたし!
池波うんちくを駆使して、彼女のハートをいとめるんだ!
長い人生の短い終止符。男は一人沖縄へ。出会ったのは一本のギター。
「440Hz」シリーズでギター小説という極めてニッチなジャンルへ深くダイビングする作家・澤俊之が、とある男のショートトリップを彩り豊かに描くワンデイストーリー。
舞台は沖縄。男は仕事と家庭から解放されて一人、束の間の癒やし旅を満喫する。うっかりライセンスを忘れ、予定のディープ・ダイビングを取りやめて繰り出した街角。気まぐれでドアを開いた楽器店には、蛇皮をあしらった珍しいギターが待っていた。衝動買いは男の浪漫。降り立った砂浜でストロークしたとき、地元の若者が声をかけてきた。因縁をつけられるかと身構えたそのとき、彼らの口から出てきたのはこんな言葉だった。「なんか弾いてちょうだいよ」
人生に稀に訪れる一瞬の休止符。旅に浸り、音楽に酔い、舌鼓を打つ。五感を刺激する淡麗な文体が醸し出す、至福のひととき。旅先での一期一会をテンポよく描く「澤ワールド」に触れるとき、あなたの脳裏には美しいBGMが流れ出すだろう。
Novel Jam 2017 優秀賞作品
1919年。在りし日の広島。物産陳列館にまつわる失われし物語。
作家米田淳一の舞台はSFと鉄道だけではない。凝縮された膨大な薀蓄、魅力的なキャラクターによる軽妙な掛け合いは、歴史浪漫にもその才を発揮するのだ(ノベルジャム・チームH担当編集波野發作談)。
1919年。大正8年の頃はあまり後世で注目をされている年代ではない。しかし、変わらず人は営み、世は移り変わっていく。広島がまだHIROSHIMAではなかった頃の、あったかもしれない、いや、あったはずの物語がそこにはあったのだ。
改造社社主・山本実彦、小説家谷崎潤一郎、同じく芥川龍之介は、取材と称して訪れた広島で、林芙美子と珠子の二人の女学生と出会う。そして、若干の下心もあったその会合で、三人は思わぬ展開に肝を冷やす。触らぬ神に祟りなし。触ってしまえば災い転じて福となす。アインシュタインもユーハイムもヤン・レツルもヴィトゲンシュタインも伊藤博文も知らないワンデイエピソード。それは切り取られた広島のユリシーズ。
NovelJam 2017 米光一成賞作品
――30代女子、婚活はもう時代遅れです。
30代独身女子が、“孤独死”をプロデュース?!
特に美人でもお金持ちでも才能がある訳でもない、平凡な33歳のOL、相原由衣。結婚願望もゼロで、「むしろこのまま誰にも心を揺さぶられず、淡々と生きてひっそりと死んでいきたい」と願う“低体温症ガール”は、長い低成長が続く現代日本で生きる女性の内面をリアルに活写します。夢をもって自分のやりたいことに挑戦する訳でもなく、心を開いて友だちや恋人と付き合うこともできなかった由衣の本心を見破るように現れた書店員の掛井祐司は、由衣の甘えを優しく諭しつつ、その背中を押してくれる等身大のヒーロー。そんな掛井は由衣に「いい死に方、ありますよ」とスイスの“安楽死ツアー”を紹介するが――?
ネガティブゆえにポジティブでポップな死生観を軸に展開する、大人女子必読の新しい恋活=終活ドラマ。かたくなに乾いたあなたの心の扉を開くきっかけになるかもしれません。
現代アラサー男子による新型任侠道、平成の世に新たに誕生!
日光エンゾー20歳。彼は、世にまったく名前を知られていない一人の俳優に憧れていた。その俳優の名は、奥野平次。35歳。役者兼レンタルビデオ屋の店員。映画出演本数は10本程度。映画クレジットに己の名前が登場したことはない。平次は、彼が心から憧れる昭和の任侠映画スター“健さん”と風貌が瓜二つ。だが、歩んだキャリアは天国と地獄。そんな平次に、最後にして最高のチャンスが訪れる。映画制作会社に勤める親友・久野新八が方々に頭を下げ、根回しし、ようやく取ってきた“主役”の座。しかしその裏で、新八は自分の上司の不正を知る。裏金、裏接待、裏社会とのつながり……。口封じのため、重傷を負わされた新八。友の出世のために身を犠牲にした新八の姿に、平次は自分が「本当になりたかったものはなんだったのか」を問い直す。夢を破いて、悪事を撃破する、うだつの上がらない平成男児が人間としての殻を突き破る、平成版痛快任侠劇!

阿曽淳史(編)
松野美穂(アートディレクター)
亀山鶴子(デザイン)
有田満弘(イラスト)
※著者からの依頼により本文削除(2025年2月)
Judges

藤井太洋
(作家)

米光一成
(ゲーム作家)

海猫沢めろん
(文筆家)

鷹野凌
(日本独立作家同盟理事長)
NovelJamから生まれた熱い創作の成果をお楽しみください。
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